こないだね、農家のおじさんと話をしました。

essay

こないだね.スイカ農家のおじさんと話をしました。

スイカを育てている畑の周りに、あまり強度のなさそうな棒を数カ所立てて、紐やネットで繋いで柵を作っていました。
素人目にはとても強度はないし、上も開放状態なので鳥も入りたい放題だろうし、何のための柵なのか、さっぱり分かりませんでした。
たまたま、おじさんが作業が終わって、時間がありそうだったので聞いてみました。

その柵は、カラス対策のものだということでした。

おいおい、待ってくれ。カラスは空を飛べるから、上から入れるんじゃないか?
と、きっと目で訴えていたのでしょう。
おじさんは、丁寧に説明してくれました。

私は、鳥は空を飛んで標的近くに降りて、作物をつついて食べてしまうと思っていました。
しかし、少なくともカラスはそうではないそうです。
カラスは着地してから、ぴょんぴょんと地面を移動して、目的地に到達するそうです。
目的地に直接着地することはないとのことなので、スイカの周りに柵があれば、カラスは網によって地上での移動を阻まれ、スイカに到達できないとのことでした。

話を聞いてからカラスの動きを見ると、なるほど着地後に移動しています。
何気なく見ている日常も、正確に理解しているわけではないのだなと痛感しました。

そして、対策をするときに相手の性質に合せることは大事だなと思いました。
最低限のコストで最高の効果を発揮するためにはポイントを絞った対策が必要なんだろうなと思いました。
スイカを食べるのがカラスと見極めてて、カラスだけの対策をしようとするから、こうした結果になったのだと思います。
これがもし、動物全般にしようと考えれば、ビニールハウスのようなものだったり、少なくとも全体を網で覆ったりするかもしれません。
素材も、もっと強いものを選ぶ必要があります。
人間にも対策しようと思ったら、強度のある建物の中で鍵を付けて管理しなきゃいけないかもしれない。
何のための対策か、という目的意識が、最低限の対策に繋がるのではないかと感じました。

そもそも、リスクを考えるとはどういうことか。
スイカを守るのが最終的な目的だけど、万全を期すことは必ずしも正しくないです。
24時間警備してまで守るものではないし、1000万円で完璧な柵を作っても、コストに見合わないと考えられます。
人間が取りに来るかもという危機感は当然あるけども、それに対策するかどうかというのも含めて判断の必要があるのではないか、と思います。

ひるがえって、普段の生活で考えてみました。

プレーンテキストしか打たないのにポメラではなくて.ハイスペックなゲーミングパソコン買っちゃったりする。
テストでいい点を取りたいだけなのに教科書全部覚えちゃったりする。
所有が目的だったり、教科書を覚えるのが楽しくなっちゃったというのは、別に問題はないです。
こうした、目的と手段が一致しなくなっても、目的のためにと自分を騙す行為を続けてしまうと、判断がぶれ始めると感じています。

また、物を購入する際の金銭的なコストは意識するけど、自分の消費する時間のコストはあまり意識しなかったりというバランスがあったりします。

安いものを購入して、結果的に時間を割いて作業をすることになって効率が悪くなってしまうあれです。
動画の編集をするのに、家にある古いパソコンでやって処理落ちしまくって、フリーズして作業が全然進まなかったり、するなら、状況にもよるけど新しいパソコン買っちゃった方が良かったり。
100均で何でも揃うからと買った、離乳食を凍らせるトレイが固くて、毎度毎度時間をかけて凍った離乳食を取り出すくらいなら、普通に購入してすぐに取り出せるものの方が良かったり。

だいぶ話が脱線してしまいましたが、農家の人がすごいと思うのは、このあたりのアナログなさじ加減が絶妙というところ。
デジタル世代は厳密に管理したくなってしまうけど、こうしたファジーな判断がブレなく行えるのは、ほんと賞賛に値すると思います。

日々生活する上で、全般的にこうした農業的なコスト意識ができるといいなと思う、今日このごろでした。

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