新型コロナウィルスワクチンの話

essay

はじめに

ファイザー社の新型コロナウィルスワクチンの話が、ワイドショーを席巻しています。

いろいろな報告があって、いろいろな話が報道されたり、公開されたりしています。しかし、現在どのような状況で、どのような判断をすることが正しいのかは分からないというのが現状だと思います。
今の情報で、何が適切か自分で判断するしかないのです。

せっかくなので、時流に乗って、私の意見をつらつらと書き連ねようと思います。
私見なのでデータの解釈間違いや、勘違いしている内容が含まれている可能性があります。予めご了承ください。

ワクチンの効果の前提

ワクチンの効果は、抗体を持たせることですが、抗体を持っているから感染しないとは限りません。
新型コロナウィルスワクチンは、インフルエンザワクチンと同様、終生免疫を獲得できるものではないので、1回(1セットでもよいですが)接種すると、終わりというものではないです。

データ

新型コロナウィルスワクチンの効果は、90%とか、95%とか報道されています。この確率はどうやって計算したものかについては、きちんと解説されていることが少ないように感じています。

mRNA Covid-19 ワクチン BNT162b2 の安全性と有効性 | 日本語アブストラクト | The New England Journal of Medicine(日本国内版)

よく引用されるのが、上記の論文です。
抜粋すると、

16 歳以上の人を,21 日間隔で 2 回プラセボ(有効成分なし)を接種する群と、ワクチン(有効成分あり)を接種する群に分ける。

43,448人が注射を受けた
ワクチンが21,720人
プラセボが 21,728人

2 回目の接種後 7 日目以降に Covid-19 を発症した症例数
ワクチンは 8 例
プラセボは162例

なので、ワクチンは95%の有効率を示す。

他の解析データもありますが、とりあえずおいておきます。

データ解説

注射を受けた人数は、どちらも同じくらい。
約2万2千人です。
そして、発症した人数が
8÷162=4.9%
つまり、ワクチン接種で発症者数を4.9%まで減らすことができた
→95.1%の人はワクチンが効いて発症しない
→ワクチンは95%防御した
→ワクチンの有効率は95%

というロジックです。

参考データ

ワクチンなしで1週間で感染する確率が0.75%
ワクチンありで1週間で感染する確率が0.03%

A)
ファイザーとBioNTech、COVID-19ワクチン候補の国際共同第3相臨床試験ですべての主要な有効性評価項目を達成
米国、ドイツ、トルコ、南アフリカ、ブラジルおよびアルゼンチンの150の施設で行われているそうです。
それぞれの詳細な内訳はわからないので、ここから感染について考えてみます。

B)
新型コロナウイルス 世界の感染者数・感染者マップ|NHK特設サイト
世界の感染状況で、2021年1月25日現在を参照しています。

C)
新型コロナウイルス 日本国内の感染者数・死者数・重症者数データ|NHK特設サイト
日本の感染状況で、2021年1月26日現在を参照しています。

D)
世界人口ランキング・国別順位(2020年版)
人口は、2018年現在です。
基準日が異なります。
2〜3年で人口が増減している可能性があります。

E)
あと、2021年1月26日時点の、Googleの統計情報も参考にしています。

最初に、これまでの感染状況です。

B)累計感染者B)死者C)人口感染者/人口死者/人口死者/感染者
アメリカ25,297,059421,129327,096,0007.73%0.129%1.7%
ドイツ2,154,65653,12783,124,0002.59%0.064%2.5%
トルコ2,435,24725,21082,340,0002.96%0.031%1.0%
南アフリカ1,417,53741,11757,793,0002.45%0.071%2.9%
ブラジル8,871,393217,664209,469,0004.24%0.104%2.5%
アルゼンチン1,874,80147,03444,361,0004.23%0.106%2.5%
合計42,050,693805,281804,183,0005.23%0.100%1.9%
日本373,0325,298127,202,0000.29%0.004%1.4%

Googleの12月27日頃のデータをもとに加工しています。

D)7日間平均新規感染者数1週間の感染者数C).D)1週間の新規感染者/人口
アメリカ184,9291,294,5030.40%
ドイツ20,525143,6750.17%
トルコ17,568122,9760.15%
南アフリカ11,78482,4880.14%
ブラジル35,098245,6860.12%
アルゼンチン6,00242,0140.09%
合計275,9061,931,3420.24%
日本3,16322,1410.02%
A)感染者数A)対象者A)感染者/対象者
ワクチン接種821,7200.04%
プラセボ16221,7280.75%

今回のファイザー社の結果です。

◆人口に対する累計感染者数
試験対象国全体は5.23%
日本は0.29%

◆人口に対する12月27日頃の1週間の新規感染者数は
試験対象国全体は0.24%
ワクチン接種郡は0.04%
プラセボ郡は0.75%
日本は0.02%
ただし、ワクチン接種群とプラセボ群は、試験国全体や日本と全く同じ条件ではありません。
データの参照元が異なるので、比較はできません。

対象国全体で平均をとっているので、対象国全体の感染状況は、ワクチンの試験を行っている間はより感染が拡大していた状況だった可能性があります。

ワクチン接種を日本で行った場合として考えると、
1週間の新規感染者数は人口比0.02%なので、100万人に対して、200人。
ワクチン接種で90%減少するとすれば、20人になります。
ワクチン接種によって、人口100万人あたり20人の感染に抑えられる計算です。


日本全体ではどうでしょう。
人口を1.27億人で計算すると、2540人
1日あたりで計算すると362人
日本全体で362人なら、万々歳ですね。
いずれも、接種対象者ではない16歳未満の人口も含まれているので、総務省のデータを参考にします。

統計局ホームページ/人口推計(令和2年(2020年)8月確定値,令和3年(2021年)1月概算値) (2021年1月20日公表)
各月1日現在の日本の人口について、最新の推計結果を掲載しています。

令和2年8月1日現在のデータで、人口は125,809,000人。
うち、15歳未満の人口は15,064,000人
全体の約12%で、15歳以上の人口は110,745,000人。

先程の試算で、計算すると1週間あたりの成人の感染者数は2,215人。
1日あたりでは316人+16歳未満の感染者となります。

緊急事態、基準下回っても「直ちに解除ではない」西村氏(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
緊急事態宣言解除の目安が、東京都で1日あたり500人以下と言われているので、全国で300人程度と計算通りにワクチンの効果がでれば、一気に収束しそうな気がします。

ただし、ワクチンの治験での効果判定には、陽性者ではなく、発症者になっています。
つまり、362人は発症者であって、陽性者ではないのです。
そして、500人の基準は陽性者です。
天地がひっくり返っても、発症者数が陽性者数を上回ることはないので、発症者と陽性者の人数の関係のデータを探したのですが見つけることができませんでした。
陽性の定義も、国によってPCR検査の検査方法が違っているという話もききます。そもそも、PCR検査がどの程度できるかによっても、陽性と判定される人数に違いがあります。
発症者の定義についても、統一した基準を作ることは難しいと考えられます。

つまり、これまで議論されたり基準になっている数は陽性者数にも関わらず、ワクチンの効果で議論されている数値は発症者なのです。
そして、連日報道されているとおり、陽性者で発症しない人もいるし、陽性で症状がなかったはずが急変で死亡することもあります。

今回、ファイザー社のワクチンは、mRNAワクチンです。
個人的には、評価基準は発症者ではなく、PCR検査の陽性者であれば、ワクチンの効果がとても理解しやすいのではないか、と考えました。
そして、各国でPCR検査の基準が異なるという報道もあります。今回のファイザー社の治験で、統一したPCR検査の基準を示して評価することができれば、世界中にちらばっているデータの処理もやりやすくなったのではないか、と感じています。
ワクチンに詳しくないので、もしかしたらmRNAワクチンの評価にはPCR検査が適切ではないのかもしれません。

もう一つ、治験のモデルです。
21日間隔をあけて、2回め接種から7日後の発症をみています。
最初の月の効果は治験で示されたとおりですが、
2ヶ月目以降の効果はわかりません。
また、毎月同様のスケジュールで接種を継続することで、発症を抑制するかどうかも分かっていません。
ワクチン接種の効果がどの程度続くかはまだ分かっていないのです。

ファイザーとBioNTech、New England Journal of MedicineにBNT162b2 COVID-19ワクチン候補の主要な国際共同第3相試験結果を公表
全ての参加者は2回目接種後2年間、長期の予防効果と安全性を評価するため、観察が継続されます。
とあります。
公表されたのが、12月10日。
現在は1月26日。
少なくとも2回目の接種から1ヶ月以上が経過しています。
ファイザー社がどのようなスケジュールで観察を行っているかはわかりませんが、毎月のデータが出ると、評価がしやすいと感じています。
もしかしたら、どこかで発表されているのかもしれないですが。

さいごに

新型コロナウィルスワクチンが有効で、副作用もなく、元の世界に戻れるといいな、と思っています。または、ワクチンがなくても、元の生活に戻れるといいな、と思っています。

インターネットが普及して、いろいろな情報にアクセスできて、いいなと思っています。

でも、本当に欲しい情報は、手に入らないのかもしれないな、と感じています。

個人的には、データを見る限りでは、
効果が治験どおりに発揮できて、重症者が減らせるのであれば、
導入の意義はあると思います。

一方で、感染力を抑える効果があるかどうかの試験デザインもとれそうだったのに、なぜ選択しなかったのかという理由も気になります。

発表した内容全体を見れば、今回のワクチンは、発症を抑えるものと言えます。
発症が減って、重症化例が減れば、医療の逼迫度合いが軽減される公算が高いといえます。
一方、集団免疫の獲得につながるかどうかについては、データがなく、評価することができません。
というのも、新型コロナウィルスは発症前に感染することがあるといわれているため、発症しなかったとしても感染力がある可能性があるからです。

発症や重症例を減らして、医療の負荷を下げるという意味では、

高齢者や基礎疾患を持って、重症化しやすいと言われる人を優先したり、

重症化しにくいと言われていて、データもない16歳未満を接種から除外するのは理にかなっているといえるのではないか、と思います。

早く、新型コロナウィルスによって苦しい思いをすることがなくなりますように。

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